【行動経済学】アンカリング効果で買わされている?

経済的自由

ど〜も!節約と投資で経済的自由を目指す底辺の社畜です!

今回は、2017年に米シカゴ大学教授リチャード・セイラーがノーベル経済学賞を受賞した『行動経済学』についてお話しようと思います。

行動経済学とは、正統派の経済学への疑問から生まれた学問です。正統派の経済学では、人間は経済的に合理的な行動をとる「ホモ・エコノミカス」をモデルとしていました。しかし、実際の人間は、あえて損をする選択をすることが実験で実証されました。ホモ・エコノミカスをモデルとした経済学は、欠陥があることが実証されたのです。そして、非合理的な行動をとる実際の人間を「ヒューマン」と呼び、このヒューマンをモデルとして組み込んだ経済学が「行動経済学」という学問となったのです。

社畜
社畜

簡単に言うと、人間が実際にする選択をまとめた学問が『行動経済学』ということです。

今回は、『行動経済学』の『アンカリング』について解説したいと思います。

経済的自由へのヒントになる知識を得ることができる内容になっていますので、宜しければ最後までお付き合いください。

年間15,000円の週刊誌を定期購読させるには?

早速ですが、質問です。

年間15,000円の印刷週刊誌を定期購読させるにはどうすればよいでしょうか

設定はこうです。あなたは、週刊経済誌の営業をしています。一冊300円の経済誌を年間50冊発行しています。一年間購読すると300円×50冊=15,000円になります。

昨今、週刊経済誌の定期購読者は減少しています。というのも、ニュースはスマホで簡単にチェックできますし、何より無料です。もちろん、ネットにあふれるニュースは信ぴょう性に疑問がありますし、何より記事が浅いという問題があります。

あなたが勤めている出版社も、デジタル化の波に乗ってオンライン版の経済誌を提供しています。こちらの購読料は月額500円で、年間の購読料は6,000円です。

出版社としては、印刷物が売れる方が喜ばしいことです。製紙業者やインク業者、印刷所、販売店の売上だけでなく、そこで働く人の雇用が生まれます。

話がそれますが、1990〜2000年頃は、音楽CDの全盛期で1曲で100万枚以上のCDを売るミュージシャンが沢山いました。しかし、AppleのiPodが発売されると、音楽は配信へとシフトしていきます。iPodはiPhoneへと進化し、2022年現在、音楽はサブスクリプションで楽しむのが当然となりました。CDはファンの一部だけが購入するものになってしまったのです。CDが売れなくなったことで、音楽業界の収入は激減します。様々なミュージシャンが言っていますが、配信では利益が出ないため次作の制作に影響が出ているとのことでした。CDが売れると様々な業界にお金が回るのでCDを買って欲しい、配信ではやっていけない、というのが本音のようです。一方で、旧来のスタジオで音楽を制作するミュージシャンとは異なり、デジタルネイティブのミュージシャンはコンピューターで簡単に音楽を制作できるため参入の障壁が低くなったというメリットもあるようです。

奥さま
奥さま

2000年頃は、確かにレンタルCDショップがたくさんありました。今は見なくなりましたね〜。

話を戻しまして、出版業界においてもオンライン版でなく、紙の週刊経済誌が売れて欲しいのが本音です。

では、あなたはどうやって印刷版の週刊経済誌を定期購読させますか?

アンカリング効果

アンカリング効果とは、「先行する何らかの数値によって、その後の判断が歪められ、あとから判断された数値がアンカーに近づく傾向」のことです。アンカーとは船のイカリの事です。船がイカリの周囲しか動けないのと同じように、アンカーの数値から近い範囲で判断を下してしまうのです。

例えば、

通常価格15,000円のところ、今だけ10,000円!

というポップが出ていたとすると、15,000円がアンカーとなり、10,000円が安く感じるといった具合です。

社畜
社畜

社畜はこれに弱いです。見切り品のワゴン商品なんかよく覗いてしまいます。

では、アンカリング効果を踏まえて、設問「年間15,000円の印刷版の週刊誌を定期購読させるにはどうすればよいでしょうか?」を考えてみましょう。

もちろん、紙の週刊経済誌は一冊300円であることは知られていますから、「通常の年間購読料20,000円のところ、今だけ15,000円」とすることはできません。

マサチューセッツ工科大学の学生を対象にした実験

マサチューセッツ工科大学の学生を対象にした実験では、対象に以下のような選択肢を提示しました。

週刊経済誌の年間購読料

A. オンライン版の年間購読料6,000円

B. 印刷版の年間購読料15,000円

C. オンライン版と印刷版のセットの年間購読料15,000円

対象者の選択は、

A.を選んだ学生16%

B.を選んだ学生0%

C.を選んだ学生84%

Bの印刷版と同じ金額で、3の印刷版とオンライン版のセットが購読できるとなれば、これが魅力的に見えるのも不思議ではありません。

奥さま
奥さま

これはCを選ぶでしょ?

面白いのは、設問を変えた場合の選択です。選択肢を以下のようにしたとき

週刊経済誌の年間購読料

A. オンライン版の年間購読料6,000円

C. オンライン版と印刷版のセットの年間購読料15,000円

A.を選んだ学生68%

C.を選んだ学生32%

セット購読を選んだ学生が32%に激減したのです。もともと誰も選ばなかったBの選択肢を外しただけなのに、選択結果は全く変わってしまったのです。

この実験ではBがアンカーになりました。これがAとCの正確な評価を歪めたのです。Bがない場合は、AとCを正確に評価し、比較できたので割安なオンライン版だけで充分という結論に至ったのです。

まとめ

今回は、『行動経済学』の『アンカリング』について解説しました。

行動経済学とは、無意識のうちに人間が取ってしまう行動をまとめた学問です。逆に言えば、「これは行動経済学だ」と意識すれば回避することができるはずです。

社畜
社畜

実は、さっきの定期購読の三択は、某新聞社が実際に取り入れています。

奥さま
奥さま

恐ろしい。

見事に引っ掛かったからね。

私達が普段目にする広告には必ず意図が隠されています。罠と言っても過言ではないでしょう。

しっかりと知識武装して、大切なお金を守りましょう。

経済的自由を目指す人の参考になれば嬉しいです。

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