こんにちは!経済的自由を目指す底辺の社畜です。
今回は、柏本湊 著『男の本格節約術〜5年で1000万円貯める52のノウハウ〜』を読んだ感想を書き残したいと思います。
筆者が経済的自由を手にした経緯が記されており、これから経済的自由を目指す人にとってのお手本になると思います。
はじめに
はじめに、筆者について軽く説明しておきます。
筆者である柏本湊さんは、1968年生まれ。大阪府出身。東京大学法学部卒業後、某大手金融機関(メガバンク)に就職し海外勤務も経験されています。
2012年春に44歳で独立し、フリーランスでビジネス書、評論、エッセイなどの執筆活動を開始。
この本も、2012年8月17日に発行されています。
筆者が『エース』を持とうと考えた経緯
東京大学出身でメガバンク勤務は勝ち組です。底辺の社畜とは、比べるまでもありません。
では、参考にならないのかと言うと、そういう訳ではありません。
筆者は、“職場の人間関係で大変な思い”をして、“いつでも会社を辞められるように準備をしたほうがいい”と強く思うようになりました。
経済的自由目指すことになったきっかけは一般の人と同じですね。
“どうしても環境を変えたいときに、自分の意思で会社を辞める『カード』を持つことができれば、仮にそのカードを切ることがなくても”精神的な余裕が全く違うと考えました。
そして、このカードをトランプの最強カードになぞらえて『エース』と呼んでいます。
ここが、社畜が最も驚いた点です。筆者は30代で『エース=経済的自由』を持とうと決め、その時期を40代に設定しています。30代が仮に35歳だったとすると2003年には経済的自由を意識した行動を開始したことになります。
日本で『FIRE』ムーブメントがブームになったのが2018年です。有名な『三菱サラリーマン』さんより早く、『FIRE』という言葉がない時代に『FIRE』に向けて行動し始めたのです。
さすが東大卒のエリート。
そして、この本の表紙には、こんな言葉が記されています。
『10年後には当たり前となるライフスタイル』
実際には6年後の2018年に、このライフスタイルは『FIRE』として、当たり前に認識されるようになりました。
まるで予言書のようです。
参考となるメンターもいない時代に、筆者が参考にしたのは、トマス・J・スタンリー&ウィリアム・D・ダンコ著『となりの億万長者〜成功を生む7つの法則〜』でした。
この億万長者の行動様式から、独学で『FIRE』(筆者はセミリタイヤと呼んでいる)を達成したのです。
古い本なので、内容が古くなっているところもありますが、基本的な考え方は、きっと参考になると思います。
全資産残高を可視化しよう
筆者は、毎月末の全銀行口座の残高、現金、株式・投資信託の時価をExcelに入力し、その増減をグラフにして見える化するようすすめています。
現在はマネーフォワードなど、もっと便利なツールがあるのでExcelを使うことはないでしょう。しかし、総資産残高の動きを見える化するという点は同じです。
貯金箱は、現金が見えなくなるので使ってはいけないと言っています。
そして、毎月の収入の一定割合を積み立てようと言っています。一定割合とは、具体的には25%以上とかなり高い割合になっています。しかし、25%で5年で1,000万円貯めるには、年収が800万円以上必要です。
いや、一般人には無理だろ!
日本人の平均年収は400万円台だよ?
だから25%を『貯金しよう』じゃなくて『積み立てよう』と言ってるんだよ。
と・う・し!
大切なのは心がけ
収入の25%を積み立てるのは、なかなか難易度が高いです。しかし筆者は、無駄を抑える意識『心がけ』で達成可能と言っています。
目的を家族で共有する
まずは、節約・貯蓄の目的を家族で共有することです。
筆者の子供時代は裕福な家庭ではなかったそうです。しかし、筆者を含めた二人の子供を大学まで行かせる教育費が必要で、そのために節約しているのだという空気が家庭の中にはっきりありました。それによって、ゲームを欲しがったりする子供にはならなかったそうです。
ポリシーのない節約は長続きしません。家族みんなが意義や幸せを感じられる節約・貯蓄の目的を持つことが重要です。
社畜の目的は、60歳前に経済的自由を達成することです。
はいはい。
頑張ろうね〜。
見栄を張らない
人には、特に男性には、見せびらかし的な消費をして自分を他人と差別化しようとする性向があるそうです。
家、車、スーツ、腕時計、バッグ、靴。これらをブランド物で揃えていたら絶対に節約できません。
見栄を張らずに、『さっぱり小ぎれい』の心持ちで臨みましょう。『見栄とはコスト』というのが筆者の考えです。
社畜も同感です。
そもそも、自分が思うほど他人はあなたを見ていません。
生活水準を上げない
『パーキンソンの法則』というのがあります。この第二法則は『支出は収入に達するまで上昇する』というものです。
収入が上がったら高級車に買い換えるというのは、社畜の周りでもよく聞く話です。先程の見栄と通じるところがありますが、この役職なら『普通』はこれくらいの持ち物を持たなければならないという固定観念です。
この『普通』は、他人が決めた基準です。自分で決めた『普通』の基準は、収入や役職によって変わるものではありません。
キャッシュベースで考える
『機会費用』と言う言葉で損得を議論されることがあります。
2000円のフライパンを焦がしてしまったとします。このフライパンの焦げを削ぎ落とすのに1時間かかるとしましょう。この人の仕事での収入が『時給換算』で3000円だったとします。すると『機会費用』は3000円ということになります。修理するより、新しく買った方が安いので、このフライパンは捨てたほうがよいという考え方です。
筆者の考えは違います。実際は職場にいないので3000円は稼げません。新しいフライパンを買えば新たに2000円の出費です。修理すれば自由な時間を1時間失いますが、確実に2000円を浮かすことができます。
このように『機会費用』や『時給換算』で考えるのでなく、キャッシュベースで考えることが節約のポイントと言っています。
では、100円の商品でも修理したほうがよいのか。筆者は、金額の多寡については本人の直感で決めればよいと言っています。
社畜は、落ちている1円玉は拾います。
足るを知る(少欲知足)
足りない足りないと不平を言うのではなく、今あるものに満足し、感謝の気持をもつ。それこそが人間の心を幸せにする近道なのです。
これは仏教の『足るを知る』という教えです。
社畜もここまでは達観できません。足りなくても我慢はできますが・・・。
満足して、感謝までするのはハードルが高いね。
過去に無駄にしたお金を反省し学ぶ
このあたりから筆者のレベルの高さが突き抜けてきます。
無駄にしたお金も、反省し次に活かせば無駄ではなかった、という甘い話ではありません。
筆者は特に、ゴルフレッスンと英会話レッスンを後悔しています。
例えば、ゴルフは一定のレベルまではレッスン時間に比例して上達します。しかし、ある水準に達すると上達度合いが緩やかになります。この緩やかになるタイミング(筆者の場合は半年)でやめればよかったという後悔です。
コスパが悪くなったタイミングってこと?そこが楽しいんじゃないの?
まず、コスパが悪くなるタイミングに気づかないよ、普通。
社畜が、『セールで安いという理由だけで買った服は、結局あまり着なかったという反省を活かし、気に入ったものを定価で買うようになった』というのとはレベルが違いました。
さすが東大。
自分なりの豊かさを定義する
ここには、人生の豊かさについて、筆者がどう考えているかが記されています。
『社会に出てからは、節約生活に始まり、節約生活に終わる。こういう人生であれば、何のための人生だか分からないということにもなるでしょう。自分なりに、豊かな人生とは何かの定義付けが必要だと思います。』
『私は、豊かな人生=妻と楽しい時間をできるだけ共有し、自分の趣味の時間もふんだんに持ち、ストレスある対人関係を抱えない人生、と捉えています』
『その実現のためには、自分にとって完全に自由になる時間を年単位で多く確保することが大事、と考えています。』
と記されています。まさに『FIRE』ですね。社畜も何とか経済的自由にたどり着きたいものです。
家庭での実践
ここには、節約の実践が記されています。
家は買わない。自家用車は持たない。保険には入らない。趣味は絞り込む。ギャンブルはしない。
と言った基本から始まり、
飲み会は極力絞って参加し、2次会には行かない。コンビニは使わない。外食はランチのみ。図書館を活用。体型を維持して服を長く着る。散髪にお金をかけない。
といったハイレベルな筆者の節約の実践における考え方が述べられています。
まとめると、『モノはなるべく保有せず、あるものを徹底的に有効活用する』といったところでしょうか。
本の中で引用されていましたが、『ある有名な写真家が世界中を巡って調査した結果、一人あたりの所有物の平均は、モンゴルで300個、日本では6000個だった』そうです。
20倍!?
日本人は、諸外国と比較して、家庭の中にあるものが非常に多いようです。家にある物を徹底的に活用することで、買い物が減り、所有するものが減り、お金が貯まるようになる、と説いています。
自家用車については、地方では必須なので、筆者の考え方として参考程度にしておこうと思いました。
家や趣味についても、書いてある通りでなく、自分のポリシーをもって選択すれば良いと思います。
ただし、所有物を減らさないと、お金は貯まらないようですね。
資産運用
ここで、筆者は『貯蓄』『運用』『ローン返済』の順番を間違えないこと、を説いています。
筆者は、とにかく借金を嫌います。大原則として『返済は運用に勝る』と考えていて、『支払い金利をなくすことは、リターンが不確かないし小さい運用よりもプライオリティが高い』と言っています。
ですから、順番は『ローン返済』→『貯蓄』→『運用』となります。
ローン返済が終わったら貯蓄を始め、かなりの額(1000万円以上)を貯蓄してから運用のステージに入ることを説いています。
『運用』は『分散投資』をすることと、『100ー年齢』%をリスク資産に振り分けるのがよいと言っています。
残念ながら、ここは社畜と考え方が一致しませんでした。筆者に比べて社畜の収入が低いのが原因だと思いますが、ローンを完済して1000万円貯まるのを待っていたら60歳を超えてしまいます。
セミリタイヤして思うこと
ここからは、筆者がセミリタイヤして思ったことが綴られています。
どういった思考が節約を成功させたのかを自己分析されています。
完全に自由な時間の確保が最大のリターンだ
「節約しても使わないと意味がない、お金を活かすことにはならない」という人もいるそうです。
それに対して筆者は「使わずに積んでおくことも一つの使い方。節約してお金を貯め、そのお金を見合いに、まとまった自由な時間を購入する」これが節約の最大のリターンだと反論しています。
『完全に自由な時間の確保が、節約の最大のリターン』というのが筆者の結論です。
まさに経済的自由!
憧れます。
世の中の常識・規範を重くとらえない
節約に対する反論にも回答しています。
『国民が節約一辺倒の風潮になれば、消費がしぼみ、お金の循環が悪くなり、経済が立ちゆかなくなる、と思われる向きがあるかもしれません』が『経済成長を当然の善とする現在の“常識”は、必ずしも普遍性を持たないと思う』と述べています。
その根拠として、『これまでの経済成長は、地球上の化石燃料をはじめ、各種資源、自然を食いつぶすことによって達成してきたわけですが、地球の有限性に照らして、そろそろこの“常識”が限界に近づきつつある』点を挙げています。
そして『こうした理解に立てば、経済成長を持続すべきという常識・規範に私達は囚われる必要はない』と結論づけています。
ここに関して、社畜の考えは中立です。まだまだ経済的自由を達成しておらず投資のフェーズにいる以上、経済成長は必要です。しかし、その経済成長は地球を犠牲にしないものでなければならないとは思います。ここはテクノロジーに期待したいと思います。
NASDAQ上場企業の皆さん!
地球を犠牲にしない経済成長を期待しています!
大切にしたいのは自分の人生の物語
人間はみな、自分の人生の主役なのだということは頭で分かっていながら、なかなかその通りに行動できません。
親の意向、世間体などから本意ではない生き方を選択しています。進学先しかり、就職先しかり、結婚相手しかりです。私たちは自由な身でいるようで、世間、周囲に絡め取られている存在といえます。
セミリタイヤを達成して、筆者が自省を込めて思ったことは『もっと自分の人生に集中しよう』ということです。
『自分は何をしたいのか、どうすると満足するのか、まっさらな心境になって自分の心に問いかけ続け』ようと説いています。
社畜は、経済的自由を達成したら子供の成長を楽しみたいです。
あと、世界遺産巡りができたら最高だね。
節約志向の副作用
いいことずくめに聞こえる節約志向ですが、『副作用』に注意しようと筆者は述べています。
その『副作用』とは、『発想の貧困化』です。
例えば、経済的自由を達成するには節約が第一ですが、そこに固執すると収入を上げるという発想にたどり着きません。
旅行にも行かず、世界で起きている出来事への関心まで喪失してしまえば、好きなことを発見したり、自分のビジネスを始めたり、思いがけない出会いが生まれたり、といった様々なヒントやきっかけを得るチャンスを失ってしまいます。
『節約生活をスタート、本格化させても柔軟な発想はいつでもできるよう心がけたいものです』と、筆者は自戒を込めて述べています。
確かに、経済的自由を達成する手段は一つじゃないですもんね。
発想の貧困化には注意します。
まとめ
いかがでしたか?
現在とは合わない内容もありますし、住んでいる場所や年収も違うので、完全に同じ生活をすることはできませんが、心がまえは参考になったのではないでしょうか。
2012年の時点で、44歳で経済的自由を達成した筆者の言葉には説得力があるなと思いました。
まとめると、
『家族と共通の意識を持って節約して、収入の25%を貯蓄する。収入が上がっても生活水準は上げない。他人にどう思われるかは気にしない。豊かさの基準は自分自身が決めることと肝に銘じる。そして、一定程度貯蓄できたら分散投資を始める。』
これで、筆者は10年も経たずに経済的自由を達成しています。見習うべき点がたくさんありますね。
詳しい内容が気になった人は、ぜひ実際の本を手にとって頂けたらと思います。
経済的自由を目指す人の参考になれば嬉しいです。
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