【実例解説】転職は経済的自由への近道?一歩踏み出す前に必読!【リスクを理解する】

経済的自由

『年功序列は終わり』『終身雇用は昔話』といった事を、よく耳にするようになって数年になります。特に、2019年5月13日の日本自動車工業会の会長会見での、トヨタ自動車の豊田章男社長の「…終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた。」と言う発言に衝撃を受けた方は、少なくないのではないでしょうか。

2015年には、SONY、Panasonic、日立製作所など電機業界の大手3社が、年功序列型の賃金制度を廃止すると発表しています。

川崎重工業は、2021年4月から勤続年数に応じて昇給する年功序列を廃止して、役割や成果を重視した新たな人事制度を導入することを決めたと発表されました。

正規雇用の労働者は、転職や独立によって自己の価値を高める時期が、数年前から始まっていると言えるでしょう。

しかし、その一歩を踏み出す前に、正規雇用の方には、『転職のリスク』について必ず理解しておいて欲しいのです。

奥さま
奥さま

なんだか、今日は、怖いね。

社畜
社畜

社畜道を極める事を選んだ理由が分かると思うよ。

転職の実例解説

これは、社畜の先輩の実際の話です。

出会い

社畜たちは、地方では中堅と呼んで差し支えない程度の規模の会社に勤務していました。

先輩は、社畜の数年歳上で、社畜が入社したての頃からお世話になっていました。

数年後、先輩が30歳の頃には、当社だけでなく、取引先の若手も含めたレクリエーションを企画して成功させるなど、社内外での信頼と人脈を築きます。

仕事面でも、会議で意見を求められたりと、少なくとも、若手だった私の目には、上司の信頼を得ているように見えました。若くして管理職候補だったのは間違いありません。

私生活では、職場の年上の女性と結婚し、2人の子供を授かります。34歳で、急行電車が停まる規模の駅近くに、新築マンションを購入しました。

子供が成長すると、休日は、少年野球の送迎も積極的に参加します。公私ともに充実がうかがえました。

転職

歯車が狂い始めたのは、ちょうどそんな時です。

先輩の奥さんが、仕事を辞めたいと言ったのが、きっかけでした。

先輩のライフプランでは、二人分の収入で、お金がかかる子供2人の教育資金を捻出する。定年前には、住宅ローンを繰上返済で完済。退職金で年金受給までを食いつなぐ。65歳からは、二人分の年金で幸せな老後を送る。そんな事を考えていたのではないでしょうか。

当時は、会社の業績が悪かったため、社員もサービス残業を強いられました。奥さんは、家事と仕事の両立が難しかったのでしょう。先輩も、思ったように昇進・昇給できず、自分の能力に見合った給与が支払われていない、と考えるようになっていました。

そして、いよいよ一歩を踏み出します。会社には内緒で求職活動を行い、奥さんの退職の一年後に転職を成功させます。

転職先は、地元で最大のグループ企業の一社で、年収アップが約束されました。残業が少ない業種で、成績次第で管理職を目指せるということでした。

先輩の送別会では、転職先の条件を聞いて、誰もが羨みました。上司からの慰留も、もちろんありましたが、この条件では勝ち目がありません。妬む人もいれば、さすが先輩だと言う人もいました。そして、先輩は会社を去りました。

その後も、お互いに連絡を取り合い、それぞれの職場の雰囲気などを話していました。しかし、徐々に連絡の間隔が空くようになり、半年ほどすると、連絡はなくなりました。お互いに、仕事に専念しなければなりませんから、仕方がありません。

そして、2年ほど経ったあの日。あの衝撃は、今でも忘れられません。

再会

職場の朝礼で、中途採用者の紹介がありました。そこに立っていたのは、先輩でした。

先輩が、転職先を退職した理由は、みなさんの想像どおりです。条件が、全く違ったのです。

給与については、試用期間を経て、上がるはずでした。試用期間の給与については、書面を交わしていましたが、試用期間後、本採用時に示された書面は、採用時に口頭で説明された金額とは、かけ離れていたそうです。もちろん、文句は言いましたが、無職になるわけにはいかず、やむなくサインしたとのことです。

残業については、確かに残業ではないのですが、半強制参加の飲み会や、取引先との懇親会、非正規社員からの相談対応などの拘束時間が長く、実質サービス残業をしていたようなものだったそうです。

最後に、望みをかけた昇進・昇給についても、実情は全く違いました。職場内の人間は、外様の先輩より、叩き上げの人間を後押しします。普通に考えれば、叩き上げより先に管理職になれるはずはありません。転職前の給与に到達するには時間が掛かり過ぎると考え、恥を忍んで、出戻りの道を選んだのです。

末路

もちろん、当社もそんなに甘くありません。ポジションは、社畜より下です。アラフィフの現在も、管理職にはなれていません。給与は、転職前より下がりました。と言っても、転職先よりは高かったようですが…。

結局、この件で得をしたのは、経験者を安く雇う事ができた、当社の経営者だけだったと言えるでしょう。

転職のリスク

みなさんは、この話からどのような教訓を得られましたか。

転職活動推進派の意見では、以下のようなものをよく見ます。

  • 『転職活動で、自分の市場価値を知ることは重要。』
  • 『市場の評価が低ければ、転職しなければいいだけ。』
  • 『転職活動で、自分の価値を調べるだけならノーリスク。』

本当でしょうか?

社畜には、客観的な視点が欠けているように思います。

客観的な自分の価値も評価できないのに、転職活動を行うべきではありません。経営サイドから見たとき、転職活動をしている社員は、どのように映るのか想像してみて下さい。『裏切り者』、『仕事に専念できていない』と映るのではないでしょうか?

会社にバレないように転職活動する?少なくとも『ノーリスク』とは言えませんよね。

『労働力は収益を生みだす唯一無二の資産』です。軽々しくリスクにさらしてはいけません。

転職活動の条件

誤解しないでいただきたいのですが、転職してはいけないと言っているのではありません。むしろ、以下のどちらかの条件に当てはまるなら、すぐに転職活動すべきです。

すぐに転職活動すべき条件
  1. ブラック企業に勤めていて、身体、もしくは精神にダメージがある。
  2. 自己の価値を客観的に評価でき、かつ会社の評価が自己評価より低い。

1.は当然ですよね。繰り返しますが『労働力は収益を生みだす唯一無二の資産』です。資産を、毀損するような場所に置いてはいけません。

2.も当然です。確実に現在より好条件で働けるなら、すぐに転職活動を始めましょう。休日に転職エージェントに相談するのはお薦めです。

他にも、ヘッドハンティングで、現在より好条件で働けるなら、転職活動ではなく、すぐに転職して下さい。何度も繰り返しますが、『労働力は収益を生みだす唯一無二の資産』です。安売りしてはいけません。

最後に

『稼ぐ力』を育てると言うと、収入を増やすことを考えてしまいますが、現状を維持する能力も、立派な『稼ぐ力』です。

『労働力は収益を生みだす唯一無二の資産』です。転職という一歩を踏み出す前に、必ず『リスク』を考えてください。

社畜
社畜

収入アップは見込めなくても、今の仕事に専念する。

そうすれば、現在の収入を維持できる可能性が高まると思ったんだ。

奥さま
奥さま

なるほど。

リスクを避けるために社畜を選んだんだね。

社畜
社畜

今の収入でも、なんとか投資に回す資金は確保できているからね。経済的自由には、近づいているはずだよ。

奥さま
奥さま

期待してるよ。

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